腎臓内科・透析・一般内科・在宅・その他のまとめ

主に自分向けの読んだ本・知識のまとめです。

よく使うBPSD治療薬

<興奮・攻撃>①→④の順

①抑肝散3T/3x、昼夜逆転であれば、眠前のみをトライ
②チアプリド(グラマリール) 12.5mg分1で開始。透析患者の場合max50mg分1。原則夕で開始。パーキソニズムや過鎮静に注意
③頓服リスペリドン追加:0.5mg屯用。1時間おいて6回まで可能) (維持の場合初回1mg分2、最大6mg分2)
④グラマリールをクエチアピン(セロクエル) 糖尿病禁忌。まぁまあ鎮静強い。腎機能正常者と同じ。12.5mg分1から開始(米国dose)。
セロクエルワイパックス0.25mg 分1に変更(米国dose):最も鎮静・呼吸抑制強い。
⑥経口ダメ ハロペリドール点滴
 

<よく使う非定型抗精神病薬>

・リスペリドン(リスパダール)(認知症ガイドライン2010、日本老年医学会代替薬推奨) 半減期20-24時間。OD錠剤あり。鎮静作用少ない
・クエチアピン(セロクエル)(日本老年医学会推奨、認知症ガイドライン推奨、糖尿病にはダメ)鎮静作用・血圧低下あり、半減期6-7時間
 

<よく使う定型精神病薬>

・チアプリド(グラマリール) 15-150mg(日本老年医学会代替薬)
ハロペリドール(老年医学会慎重投与)
 

<その他>

ワイパックス(ロラゼパム):BZD系。鎮静強い。安易に使わない。せん妄や昼夜逆転を惹起する。
・一般的にせん妄治癒には1-2週間かかるので、すぐ薬が効かないと焦らないこと
 

<非薬物療法>

・そもそもせん妄には薬物療法無効。ただし、おとなしいせん妄にすることは可能。おとなしいせん妄の方が予後が悪い。
 

<HELP>

・眼鏡、補聴器をかけよ:感覚のインプットが減ると譫妄を起こす。
・抑制・拘束するな:抑制は譫妄を起こす。
尿閉、便秘は譫妄起こす:トイレ時間誘導、緩下剤を出せ。
・とにかく座らせ、立たせ、歩かせよ。 
・1 日 3 回、スタッフが「時間、場所、人」を繰り返し教えよ(reorientation)。 
・病棟に時計、カレンダーを置け(日時が判らぬと譫妄起こす)。 
・鎮痛薬は頓服でなく定時(round the clock)で出せ!
・深夜のバイタルチェックやめて不必要な覚醒を避けよ! 
・興奮譫妄で危険な時のみ抗精神病薬少量使用(セレネース、リスパダール、ジプレキサ、セロクエル)
 

<せん妄のハイリスク薬剤>

ベンゾジアゼピン : 譫妄起こす。内服している場合は減量。 突然中止しない(痙攣!)
・麻薬 : 鎮静、抗コリン作用、便秘(fecal impaction)起こす。 ただし疼痛自体も譫妄起こす。腎障害あると副作用出やすい。 中毒にはナロキソン。 NSAID や acetaminophen を定時に(around the clock)出す。
・非ベンゾジアゼピン睡眠薬: zolpidem (マイスリー)など これ自体が譫妄を起こす。極力薬物に頼らない。
・第 1 世代抗ヒスタミン薬(レスタミン、ベナ、ドラマミン、タベジール、ポララミン、ピレチア、アタラックス、ペリアクチン) 極力使用しない。第 2 世代以降を使用。患者が OTC で購入してないか聞け。
・アルコール : 過飲の場合の離脱症状には benzodiazepines 使用。 
・抗コリン薬 (ポラキス、ネオキシテープ、トビエース、ベシケア、ウリトス、ステープラ、デトルシトール、バップフォー) 尿失禁には時間でトイレ誘導。抗コリン薬低量で譫妄を起こすことは稀。
・抗てんかん薬 : てんかんリスク少なければ中止か他の製剤使用。 ・三環系抗うつ剤:amitriptyline(トリプタノール)、imipramine(トフラニール)は 抗コリン作用あり。 SSRI(パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ、デプロメール、ルボックス)か、 SNRI(サインバルタ、トレドミン、イフェクサー)に変更せよ。
・H2 拮抗薬(ガスター、ザンタック、タガメット、アルタット、アシノン、プロテカジン等) 抗コリン作用あり減量するか PPI に変更せよ。 特に高用量の静注で起こる。
・抗パーキンソン薬:高用量使用でドパミン中毒起こる。減量する。 ・向精神病薬(ウィンタミン、コントミン等)抗コリン作用による。中止するか減量。 ・バービツレート:原則使用しない。漸減するか BZD に置換。
 
 
<参考文献>
被災した認知症の人と家族の支援マニュアル<医療用>
 
「高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬物のリスト」(日本老年医学会、2005)