腎臓内科・透析・一般内科・在宅・その他のまとめ

主に自分向けの読んだ本・知識のまとめです。

<多発性のう胞腎>ADPKD

<多発性のう胞腎>ADPKD
  • 頻度は3000-7000人に一人
  • 常染色体優性遺伝で、男女差なく50%に発症
  • 30歳以上では除外診断98%。2-hit theoryで発症すると言われている。
  • 15歳未満のADPKDでは43%でUSで両側腎のう胞を認めた
  • 86%は15以上で診断可能。
  • ただし、若年で検査して陰性だった場合はそのまま発症しないことを保証はしない
  • 70歳までに約半数が透析となる。
  • 我が国の透析患者の原因疾患の3%を占める(第4位)
PKD1が85%、PKD2が15%
PKD1:若年発症。68歳以上で透析導入なし。
PKD2:高齢発症。58歳未満で透析導入なし。→58歳未満で透析導入なら、PKD1。68歳以上で透析導入ならPKD2
 
□腹痛・嚢胞感染、尿路結石、嚢胞出血
□高血圧50-80%に合併、腎機能障害ない時から見られる。小児でも35%に見られる。塩分制限・ARBACEI。腎機能が低下する以前から高血圧を認めることが多い。ADPKDの原因蛋白であるポリシスチンが血管拡張・収縮に関与していると考えられる。
□肝嚢胞:MRIで83%に合併認める。加齢とともに数・サイズが増大する傾向がある。男79%、女85%と男女差があり、女性ホルモンの関与が疑われる。通常肝機能障害や症状はない。巨大な場合は、横隔膜挙上による頻呼吸、消化管通過障害、胆道・門脈圧迫による門脈圧亢進症、黄疸などが生じる。
□脳動脈瘤くも膜下出血。ADPKDは16%に生じる(一般人口では1%)。家族歴がない場合でも6%と高頻度。SAHの発症年齢は41歳で一般の51歳と比較し有意に若い。大きさは10mm以下が多い。また、30歳以下ではMRAでは認めないことも多い。一般に内頸動脈に多いが、ADPKDでは中大脳動脈、前大脳動脈に多い。家系内に集積する傾向がある。54%の症例で腎機能正常な時に起きる。26%の症例で血圧正常であっても生じる。10年毎のスクリーニングで良いとする報告もあるが、10mm以下の脳動脈瘤で家族歴がない場合でも年に0.05%年の割合で破裂することから3-5年毎にスクリーニングを行う。
未破裂動脈瘤で大きさが5mm以下でも破裂の危険性は19%あるため、脳外科に紹介する。
□嚢胞感染:30-50%のADPKD患者が経験する
□尿路結石男性21%、女性13%に認め、非ADPKDよりも多い。
□その他:膵臓脾臓甲状腺、くも膜にも嚢胞形成する場合あり。
□心合併症:左室肥大、MR、ARをしばしば認める
□大腸憩室:高率に合併し、多発性であることが多い
□鼠径ヘルニアをはじめとする腹部ヘルニアを合併する(健常人の5倍)
□総胆管拡張症高率に合併することが報告されている
□妊娠:不妊をきたすことは少なく、一般成人と同様。子宮外妊娠の頻度はやや高い。男性では精巣嚢胞や精子不動症との関連で不妊となることがある
□通常妊娠・出産を迎える30台では一般人と変化なし
。ただし、妊娠回数が増すと肝嚢胞が増大傾向にあるとされる
□eGFR低下速度は年4.4-5.5
□蛋白尿出ることあり
MRIで腎容積の測定必要
 
<ご家族も含めたtotal manegement>
患者が家族に話すメリット:早期発見・治療、予防につながるかもしれない。エビデンスは不十分。デメリット:心理的負担、将来の選択肢、社会的な差別等
お子さんには1/2の確率で遺伝する。一般的には30歳を目安に検査した方が良い。ただし、脳動脈瘤の家系は早めに検査
 
  • ムスカ適応:「両側総腎容積(TKV)が750ml以上」かつ「腎容積増大速度が概ね5%以上」
  • 尿細管の異常で起こり、その中に尿など溜まる。原因遺伝子はPKD1とPKD2でこの2つで90パーセント。PKD1の発症年齢は40-50歳。PKD2は60-70歳。嚢胞のなかのcAMPが成長に関わっており、サムスカはそれを抑制すると言われている。
  • 優先遺伝したPKD遺伝子だけでは発症しない。出生後正常であるはずのもう一対のPKD遺伝子に体細胞変化が生じ、PKD遺伝子の機能が喪失することにより発症する(2-hit theory)。具体的には尿細管径の調節が出来なくなり、尿細管が拡張しはじめ、嚢胞が形成される。
  • 2015年1月から多発性のう胞腎は指定難病に指定され、難病医療費助成を受けることが出来る
  • ADPKDは30〜 40歳代までは、ほとんど症状が現れないことが多いといわれているが、血圧が高いなど ADPKDを疑う症状がみられる場合は、早めに検査
 
  • PKDの患者会があるので便利
  • 大塚製薬のHPが役に立つ
  • NEJM reprise試験では腎機能低下、比較的高齢者に対するサムスカの効果をみている。